斉通 2017年6月①号

        

 
国民を 大切に!
 
  1980年代の規制緩和以降、日本の労働者とその家族の生活の環境は激変しました。派遣労働者の出現と、非正規労働者の増加です。非正規労働者の生涯賃金は、同種の正規労働者の約3分の1にとどまっているのです。
 「昔も非正規労働者はいたよ」とか、「アルバイトやパートでしょ?」と仰るなかれ。実は、1980年代初めには16%だった非正規労働者の割合は、現在では40%を超えているのです。
 昔も、非正規労働を選択される方はいらっしゃいましたが、学生さんのアルバイトや家計を補助するための主婦のみなさんのパートなどでした。つまり、一家の家計を主に担う人が他にいて厚生年金や健康保険に加入し、学生さんや主婦のみなさんも家族として健康保険に加入していることが多かったので、家計全体としてみれば問題は少なかったのです。
 しかし、現在は、家計を主に担う人が非正規雇用や派遣社員になっており、しかも、本当は正規労働を望んでいるのにそれが叶わなかったという人が増えていると思われ、それが大問題なのです。これは、個人の問題にとどまりません。社会不安や、日本経済の活力、租税負担力など、社会全体の問題なのです。
 「正規雇用か非正規雇用かは本人の努力の問題」という声も聞かれます。しかし、規制緩和以降に雇用状況が激変したので、非正規雇用等が増えたのはまさに労働政策の問題なのです。この規制緩和により、労働憲法ともいわれる職業安定法旧32条が骨抜きにされてしまいました。
 ヨーロッパを例に、「多様な働き方を推進すべき!」と仰る方もいらっしゃいますが、それは十分な説明になっていません。日本には、ヨーロッパで存在する「同一労働同一賃金」が存在せず、単に人件費を低く抑えるために利用されているのです。
 日本は少子高齢化が進んでいます。働く者を大切にしない国は、必ず報いを受けると、私はそう思っています。


2017年06月04日